科学と発見

雄のショウジョウバエの完全な神経配線図、遺伝子と行動を結び付ける

科学者らが、雄のショウジョウバエ成虫の中枢神経系にある16万6,000個すべてのニューロンを地図化した。対象には脳、視葉、神経索が含まれる。この地図には数百万の接続が記録され、2024年に地図化された雌の成虫の脳と直接比較できるようになった。

比較の結果、感覚や運動に関わる神経回路の大半は共通していることが分かった。一方、細胞や接続のうち比較的わずかな割合に違いがあり、求愛、翅を使って出す求愛歌、攻撃行動などにおける雌雄の行動の違いを生み出す一因となっている。研究者らは、性決定に関わる2つの遺伝子、fruitlessとdoublesexが、これらの回路の形成にどう関与するかも確認できた。遺伝子の指示から行動に至る過程の重要な段階が明らかになったことになる。

地図の作成には約4年を要した。高解像度の電子顕微鏡で神経系の微細な切片を撮影し、機械学習ツールで画像を組み合わせて神経を追跡した後、専門の確認担当者が結果を修正した。関連研究では、この地図を使い、体の各所にある受容体から摂食や運動を制御する回路へ向かう味覚信号を追跡したほか、視覚情報の処理が脳の深部にまで及ぶことを示した。

ショウジョウバエは人間の縮小版ではなく、この知見が男女の行動の違いを説明するわけではない。しかし、この研究は、遺伝子が脳の配線をどう変えるかを調べるための、扱いやすいモデルを提供する。研究者らは、そこで得られる原理が、いずれ自閉症や統合失調症などに関連する遺伝的変異の研究に役立つことを期待している。

出典

  1. BBCFly brain wiring map may hold clues for autism and schizophrenia
  2. livescience.comNew map of a male fly central nervous system includes all 166,000 neurons -- and enables direct comparisons to female fly brain
  3. Ars TechnicaBrain of a male fly completely mapped, joins earlier map of a female brain
  4. EL PAÍSThe most detailed brain wiring diagram yet: How 166,000 neurons govern the fruit fly's behavior

取材・検証メモ

この記事の情報源

Published male fruit fly connectome research papers

BBC、Live Science、Ars Technica、EL PAÍSはいずれも、新たに公表された雄のショウジョウバエのコネクトーム研究に基づく報道であると明示している。

Published male fruit fly connectome research papers → HHMI Janelia Research Campus statement

Live Scienceは、ルービンの発言がHHMI Janelia Research Campusの声明で提供されたと記している。

Published male fruit fly connectome research papers → Champalimaud Foundation statement

Live Scienceは、リベイロの発言と関連研究の情報の出典としてChampalimaud Foundationの声明を挙げている。