科学と発見

暗黒物質検出器、太陽ニュートリノ測定の最低エネルギー記録を更新

暗黒物質を探すために作られた検出器が、これまでのどの実験よりも低いエネルギーの太陽ニュートリノを測定した。XENONnTは直接観測できるニュートリノのエネルギーの下限を約17キロ電子ボルトまで引き下げ、太陽を輝かせる核融合反応で生まれた粒子が主体となる信号を捉えた。

イタリアのグラン・サッソ山塊の地下1,400メートルに設置された検出器には、高度に精製された液体キセノン5.9トンが入っている。通過するニュートリノが、ごくまれにキセノン中の電子に衝突し、微かな光と電気信号を生み出す。研究者たちは、放射性のラドン、鉛、クリプトンなどに由来する妨害信号を減らし、慎重に測定した。その結果、微弱な太陽由来の信号は、素粒子物理学で発見を主張する際に慣例的に使われる「5シグマ」の統計基準に達した。

こうした陽子・陽子(pp)ニュートリノは、太陽の主要な核融合反応連鎖の初期段階で生まれる。その流束をより精密に測定できれば、太陽の中心核でエネルギーがどのように生成されるかについて、科学者の理解を検証できる可能性がある。

今回の結果は、暗黒物質を探す技術がどれほど進歩したかも示している。XENONnTはまだ暗黒物質を発見していないが、感度の向上により、ほかのまれな粒子相互作用が見えるようになっている。太陽ニュートリノは、いずれ暗黒物質探索における大きな背景ノイズ源となる。これは課題を生む一方で、実りあるニュートリノ研究の領域も切り開く。

出典

  1. www.Bluewin.chResearchers Break Record in Measuring Solar Neutrinos
  2. Scientific AmericanDark matter experiment catches quietest neutrino ever measured
  3. EurekAlert!A new window on the universe: solar neutrinos measured at record-low energies

取材・検証メモ

この記事の情報源

XENON Collaboration → Keystone-SDA

BluewinはXENON共同研究グループが結果を発表したと記し、説明に用いた引用の出典を通信社Keystone-SDAと明記している。

XENON Collaboration

Scientific AmericanはXENON共同研究グループのウェビナーでの発表を明示し、EurekAlert!はグラン・サッソのセミナーでの同グループの発表を挙げている。どちらの記事も、これらの発表との間に介在する掲載媒体を明らかにしていない。