
科学と発見
ガスに包まれたブラックホール候補、初期宇宙での急成長解明の手掛かりに
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を使う天文学者らが、濃密な水素ガスに包まれた若いブラックホールである「ブラックホール星」の有力候補を発見した。ビッグバンからわずか6億6,000万年後の姿を捉えたこの天体は、宇宙誕生から7億年もたたないうちに、一部のブラックホールが太陽のほぼ10億倍の質量に達した仕組みを、物理的に説明する手掛かりとなる可能性がある。
この天体は異常に赤い点として見えたが、分光観測から、通常の恒星や塵ではうまく説明できないことが分かった。ある波長範囲を境に明るさが20分の1未満に落ち込み、バルマー・ブレイクの値は7.7と測定された。特別に選んだ恒星集団でも、この値はおよそ5未満にとどまると予想される。水素による吸収も、ガスが極めて高密度であることを示している。
研究者らの簡略化したモデルでは、太陽の約100万~1,000万倍の質量を持つブラックホールが、ほぼ塵を含まない太陽系規模のガスの外層に包まれている。このような繭状の構造は、通常なら流入する物質を減速させる外向きの放射を閉じ込め、ブラックホールが通常の限界を超える速さで物質を取り込むことを可能にするかもしれない。
この候補天体は、ウェッブが捉えた謎の「小さな赤い点」の解明にも役立つ可能性がある。この天体では、ブラックホールとそれを包むガスが、周囲のほぼすべての恒星をしのぐ明るさで輝いているように見え、中心の動力源を異例の鮮明さで捉えられる。ただし、この解釈は確定的ではない。ガスの形状やブラックホールの質量には不確実性が残り、これが初期の成長過程で一般的な段階だったかを検証するには、さらなる事例と詳細なシミュレーションが必要だ。