科学と発見

ヒト脳オルガノイド、生物時計に沿って5年以上成熟

研究者らがヒトの大脳皮質オルガノイドを5年以上維持し、短期間しか生存しない培養では到達できなかった発達段階を、この実験室モデルで再現することに成功した。記録的な成果は、ヒト細胞からなるこの小さな塊が、自然な脳発達のいくつかの側面に緊密に対応する内部の生物時計に従って成熟することを示唆している。

研究チームは110個のオルガノイドと、42万4,000個以上の個々の細胞を調べた。遺伝子の活動パターンと、生物学的年齢の推定に使われる化学的な標識過程であるDNAメチル化は、培養開始からの実際の経過年数に対応していた。約1年後には出生後に似た特徴が現れ、6年近く経過したオルガノイドでも神経細胞が検出された。

電気的活動を支えるよう調製された培養液も、神経細胞の機能維持に役立った。1年時点で、この培地で育てた9個のオルガノイドはすべて、神経ネットワークによる協調したバースト活動を示した一方、従来の方法で培養した対照群8個では、いずれも見られなかった。

別の実験では、より長く培養した前駆細胞を、はるかに若い細胞と組み合わせた。長く培養した細胞は新しい周囲の環境に反応したが、発達を最初からやり直すことはなかった。その代わり、発達の後期に形成される種類の神経細胞を速やかに生み出した。これは、すでに完了した段階について、細胞が記憶を保持していたことを示している。

これらのオルガノイドは完全な脳ではない。血管、感覚入力、身体を持たず、考えたり感じたりすることもできない。これらは研究用のモデルであり、これまで直接調べることが難しかった、ヒトの脳の成熟の後期段階を研究する手段となり得る。

出典

  1. The DebriefScientists Grew Human Brain Organoids for Years and Discovered They Keep Track of Time
  2. Medical DailyLab-Grown Human Brain Tissue Survived Five Years and Kept an Internal Record of Every Month It Aged
  3. New York PostWorld's oldest lab-grown human brains grow for seven years recording 'passage of time'

取材・検証メモ

この記事の情報源

Nature paper, “Human Brain Organoids Record the Passage of Time over Multiple Years”

The Debriefは論文名と8月19日のNature掲載を明示している。Medical Dailyは研究がNatureに掲載されたと述べ、詳細な測定結果を報じている。New York PostはNatureの論文を参照し、研究から引用している。

Nature paper, “Human Brain Organoids Record the Passage of Time over Multiple Years” → Agence France-Presse (AFP)

New York Postは、公表された5年以上にわたる研究と、その後アーロッタがAFPに明かしたとする7年の培養に関する情報を区別している。

NPR

New York Postは、グオリー・ミンの評価がNPRによって報じられたことを明記している。

Harvard University

Medical Dailyは、ハーバード大学がこの成果を生存期間の記録と表現したことを明記している。

Broad Institute

Medical Dailyは、ブロード研究所がこの成果を生存期間の記録と表現したことを明記している。