
科学と発見
探査機の軌道追跡で火星深部の南北半球間の違いを検出
研究チームは、16年分の探査機追跡データを使い、火星の地下に惑星規模の非対称性があることを検出した。Natureで報告されたこの研究は、火星に初めて潮汐トモグラフィーを適用したもので、対照的な北半球と南半球の地形が、マントル内の深さ1,000キロメートル以上に及ぶ違いを反映していることを示唆している。
火星は軌道が楕円形で自転軸も傾いているため、687日間の火星の1年を通じて太陽の引力が変化し、惑星全体がわずかに変形する。研究チームは、Mars Global Surveyor、Mars Odyssey、Mars Reconnaissance Orbiterの電波追跡データを分析し、探査機の軌道を変化させた微小な重力変動を抽出した。測定された応答は、火星が対称であると仮定した予測から最大300%ずれていた。
これらの観測に基づくモデルは、マントルの剛性が両半球で20%以上異なることを示している。より軟らかい南半球のマントルは、北半球の平原の下にあるマントルより摂氏200〜400度高温である可能性がある。注目すべきことに、モデル上の地下の境界は、起伏の激しい南部高地と比較的滑らかな北部低地が接する地表の境界に沿っている。両地域では、地殻の平均的な厚さが約25キロメートル異なる。
温度差による説明は依然としてモデルに依存しており、溶融した岩石の連続的な層が存在することを示すものではない。地表の複数地点での測定が、その検証に役立つと考えられる。考えられる原因には、太古の衝突、マントル対流、厚い南半球の地殻による内部熱の閉じ込めがある。